1100. 現代住宅事情でのコロナとの付き合い方は可能か~家庭内感染を考える

maemi fuminori [Date 2020-4-21]

こいつは本当に厄介なウイルスです。
トラジェクトリー解析はもしかして終息きたのでは?!という楽観的にさえなってしまう傾向を示しているようなのですが、危惧されていたこのようなケースが今後増えると思われます。

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あわせて別の記事も

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前のブログで「物質別最大残存期間」についてリンクを貼りました。一緒におさらいしましょう。

・プラスチック → 72時間
・ステンレス → 48時間
・ダンボール → 24時間
・銅 → 4~8時間
・エアロゾル → 3時間

エアコンもこまめにクリーニングというのを前に書いたのですが、一部室内空気を取り込んでしまうので付着したまま残存してしまうわけでしょうね。

最近では、60℃で1時間加熱しても残存するという論文も出てきているようです。 →参考

以下は西日本新聞掲載の図をお借りしました。
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実は家庭内感染が増える記事が出る前に、厚労省と東京都保健局に電話をし、「部屋を分ける」と簡単に言うけどガイドラインあるの?という質問をしました。
するとどちらも「ない(と思います)」と言うではありませんか。
院内感染防止や第一種感染症病室の設計など山程実例があるにも関わらずです。

図のように
・接触箇所は「残存期間があるので消毒」。これは日常的に掃除が捗る家庭ではやれる範囲だと思います。
・換気扇を回す、窓を開ける「換気」。これも問題ないと思いますが、窓は素手で開閉したなら消毒です。図の窓も赤で消毒する箇所として訂正が必要になります。
・課題があるならば、「感染経路」ですよね。

冒頭、都の職員が言うように(住宅事情)は多様化したので相当難しい。
でも類型は描けるのではないでしょうか?という話をしました。
建築学会と一緒に考えてもいいじゃないとも言いました。

神経過敏になってしまう、夫婦間で考え方の差が生まれ揉めてしまうのは、
何か指針としてすがるものがない、あるいは、厳格に独自ルールを作りすぎるからと言われます。

でも、

・URのような公営住宅
・民間不動産会社の分譲マンション
・パワービルダーの分譲一戸建て
・工務店の一戸建て
・一般的なnLDKのアパート

微妙な差異はあれど、それほど多種多様な間取りでもないと思うので、
発症者の静養に最適な場所はどういう環境が望ましいかは考え方のコツがあると考えています。

この図は、これも前のブログにリンクを貼っていますが日本建築学会の「換気Q&A」から抜粋したものです。
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「換気経路」と「家庭内感染経路」をどのようにとらまえるかという話ですが、
左の「良い例」からみてみます。

比較的新しい家も、築年数が経った家もお風呂のドアには「ガラリや隙間」があります。
浴室の換気扇を回し、窓を開ける。または窓を締め切っても給気口があれば、「自然給気+機械排気」となり、浴室のファンが室内汚染空気を「引っ張り排出」します。以前も書きました。
これが住宅で一般的な「第三種換気」です。

では、和室に感染者を静養させた場合について考えます。良い例はあくまで日常の換気の良い例です。感染者が出た途端に考え方を改める必要があります。レッドゾーン/グリーンゾーンです。
別けることが可能なのでしょうか?

この絵の感じだと和室なので「引き戸」が普通だと思いますが、引き戸もマンションだと上吊りレールのいわゆる「ハンガードア」の場合が多く、必ずドアの下に隙間があります。床の方に溝があれば昔のいわゆる「ケンドン」の建具なのでハンガードアより気密性はやや高めです。

このスキマも立派な「換気経路」ですから、他の部屋へのウイルスの移動を最小限にするためには感染経路である「スキマを塞ぐ」必要があります。モヘアや気密パッキンが手にはいらないという方もいれば、100均で見つけられたという場合もあると思いますが、なければ養生テープを貼りしろを残して縦に折って、床に触れるようにドアに貼り付けるというのも応急的にはありだと思います。出入り口が2箇所ある場合は、食事を持っていくための出入り口を決め、その他はしっかりと四方目張りすると安心です。

そして、もしこの和室に「給排気型」の換気ファンが付いていれば窓を開けずに給排気ができるので、
この和室で静養してもよいと思います。
一般的な排気専用の換気ファンであれば、「窓を少し開けて常時給気を続ける」のが良いです。
換気扇がなく、窓が一つしかない場合は換気経路となる「窓側を頭にして」就寝させるのが良いと思います。枕元が窓側になるようにです。

理由は第一種感染症病室でも就寝中の頭上に風量の大きい換気扇(HEPAフィルター)を設けることで、就寝中の呼吸から出るウイルスを直上で短時間、最短距離で排菌させ、他の人も出入りする出入り口や廊下にまで飛沫核を拡散させないためと同じ理屈です。感染症病室の換気回数は住宅の12倍~24倍にもなります。
住宅が0.5回~1回/hに対して12回/h、つまり1時間に12回病室の空気を総入れ替えしている、それが感染症病室の空調です。自宅療養する際にはそのくらい換気量を増やしながら他の空間に広げない対策が必要ということになります。HEPAフィルターを付けた高機能換気扇のあるマンションとかないでしょ。この時点で一般住宅や客室を隔離施設に使う発想がまずいのです。

また、部屋の感染経路を遮断できても、風呂もトイレも洗面所もありますが、発熱の状況ではお風呂は入らないと思うので、西日本新聞の図にある箇所を手袋をはめて(図では素手に見えますが)こまめに水廻りの消毒清掃を心がけるしかありません。
そして最大の問題は玄関と廊下かなと思います。
マンションの中廊下形式は特に空気がこもりやすい。窓もなければ換気扇もない事が多い。
というよりも、発症したと思った時点で西日本新聞の図のような廊下がある場合は使わせないほうが望ましいくらいに思います。でも廊下を通らなければトイレに行けない。無理だからこそ起きてしまうというジレンマがここにあります。
最低でも出かける時でも24時間換気は心がけてほしいと思います。

最後に、まだまだアップデートしなければならないことがたくさんある「現代住宅事情でのコロナとの付き合い方」。
私もここまで書きながらも、まだまだ考察も研究もしなければと痛感します。
以前も書いていますが、家族をいたわりながら、もし罹患したらどの部屋を自宅療養に使おう?
という行動計画を紙に書いてイメージトレーニングをしたり、2週間の入院の用意だけはしてください。

そして、ここまで読んで自宅療養は絶対に無理だという結論に辿り着く場合もあると思います。
仰る通り、相当本気で対策しないと現代住宅事情で感染予防は無理ゲーに近いと思います。
家庭内経路も経済も止めずに活動しながら暮らしていく中で、西日本新聞の図のようなレベルで済むはずがないんです。だから毎日新聞のような報道が増える。はっきり言えば甘いと思っています。
一定期間経済活動を止める気がないなら政府には柔軟な補償メニューを用意してと初期ブログに書いた理由はまさにこの問題に帰結するからと言ってもいいくらいです。

おかしいなと思ったら迷わず相談センターへ連絡することに尽きます。
その時は迷わず、政府や自治体が確保するホテルでの療養を求めるように切り替えてください。
(なぜ日本政府は火神山病院のような臨時病棟を主要都市に作らなかったのか不思議なんです。東日本大震災では仮設住宅を何万戸用意したのでしょう、災害と同じという意識がなかったのか、既存感染症指定病院で間に合うと踏んだのかとにかく不思議でなりません)

今できる最善策は家で療養することではありません。

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1098. グラフの読み方勉強

maemi fuminori [Date 2020-4-17]

新潟大学大学院 医歯学総合研究科 国際保健学分野のブログでは
「トラジェクトリー解析による都道府県別のCOVID-19患者推移」
というグラフを見ることができます。

これは、札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門が作成されている
「人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移(国別)」
のグラフにも新たに追加されています。
下図、マーカーで強調したのが日本。大きな谷があるがそこから左の山頂より超えたのが3月25日で小池都知事が「感染爆発重大局面」と言った日で、30日には五輪延期合意。
因果はないと思われるがこの辺りを境に急増。

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どちらも過去ブログにリンクを貼っていますので関心のある方はアクセスしてみてください。

4/19追記:札幌のサイトでは国別でも都道府県別でもグラフの下にコメント欄があります。
グラフと併読されることをお勧めします。

正直言って、というか当然ですが、門外漢なので学術的に正確に書くことはできません。
これは、過去の関連コラムでも同じです。そういう自覚のもとに書いています。
ただ、見えないものに対して各専門家が可視化されているデータからアウトラインを掴みたい。
その気持ちだけです。
見えない物事から線を引いて組み立てていくという点で自分の仕事にも共通することなので苦にはなりません。
寧ろわからないまま不安でいるほうが怖いし、
毎日、何人増えたという報道に悲観することでストレスフルになることも好ましいことではありません。
というのもあってやってるところがあります。

新潟のブログには親切に下のようなグラフの読み方について解説している動画リンクがあり、アウトラインを掴むための一助になったのでご紹介します。
どこでピークが見えてくるのか?中国のように(本当に下がってるか懐疑的で第二波もあるのではくらいには思っていますが)右上がりが平坦に変わる時期は?下がる時期は?
国別でも辿るラインは似ているらしく、国の防疫政策によってピーク以降の推移も大きく異る。

この動画を見たあとに、札幌医科大学の都道府県別トラジェクトリー解析を見ると、降下の兆候が見られるような自治体と、東京都のように「山頂」が見えない自治体がだいたい半々の割合で見えてきました。
日本はどこを辿ろうとしているのか、非常に興味深い解析だと思いました。

登山でいうと何合目なのでしょう?
ここからどのような戦略を組み立てることができるのでしょうか?
休業要請した業種、しない業種の線引で下山ができるものなのか、不要不急の外出や旅行自粛という各自のモラリティーに任せることで下山ができるものなのか?
私にはまだまだ見えてきませんが、政治と防疫と都市戦略をかけ合わせて何かが生まれた時に「下山」できるのでしょうか?

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1097. 新型コロナ関連、事業者テナント賃料について国交省が各団体に要請

maemi fuminori [Date 2020-4-14]

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参考資料は下記
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国土交通省の掲載ページは →こちら

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1095. 正しく恐れた先に何が待ってるの?→4月6日~

maemi fuminori [Date 2020-4-06]

観光や飲食業者への補償等のアドバルーンも出てきたので、近々、緊急事態宣言がありそうな予感もします。
自粛要請と補償はセットという、法的根拠のない要請の中で多くの声に応えることに時間がかかっていることが予想されますが、
「戦後最大級の経済危機」という政府認識に対して、この調整の難航具合?が日本の政治の現状であることはしっかりとおさえておきたいものです。

ニューヨーク州が325人に増加した、3/12に宣言したことを踏まえると、東京都は確実にカウントできる都内居住の感染者数が370人に増加した、4/1以前に出したかったかも、しれませんね(妄想ですが)。
北海道のように独自に宣言を出しても良かったでしょうし、政府の(補償とセットが可能になる段階での)宣言を待たなければ動けないと言うのならば、都とリンクせざるを得ない政府が首都動向に対して悠長過ぎるとも言えるかもしれません。

首都機能移転論が再燃したり、終息後の観光支援のメニュー作りなど、それ優先順位低いよね?という話も並行でやろうとしているからおそらくは遅いのでしょうね。
滑稽な支援策が出てくるたびに不安になりますけど、おかしな政策にはおかしいと言えば調整し直すのが政治家ですから、それは間髪入れずやりあっていけば良いとして、一方で、確かに終息後に訪れる世界観への想像も同時進行で必要だとも感じます。特に私らのような建築関係は。

個人的には先日示した通り、23区とその他市町村の感染割合で、極端に市町村の感染数が増える(第二波と仮定)ようだと、東→西へのウイルス運搬が急増していることになるので注視しています。
都は公表データからこういう「東西の違い」に気づいて対策を打とうとしているのか、会見からは見えてきません。
どれだけ要請してもピークオフが訪れないとすれば、中央・総武線や西武線などを一定期間運行停止する措置も仕方ないのでは?と感じます(あくまで、そんな強権発動ができるのか、という問題提起ですが)。

4/17加筆
→この問題提起について、下記に貼りましたサイト「COVID-19情報共有」の中で、「法律的解釈に関する検討」と題して佐藤先生が考察されています。
鉄道営業法ではどうか、そして旅館業法ではと、踏み込んで抑止策について法的根拠からアプローチされています。
この考察を受けて私も調べてみたのですが、"在来線は「交通政策審議会の答申」、新幹線は「政府・与党の申し合わせ」が事実上の基本計画となっている"ようで、"法律によらず政治的に事業が進められている"のが鉄道事業なのだそうです。参照:鉄道関連の法制度について

法律では感染者の利用者について定めがある。防疫的観点からは法の解釈に重点を置く一方で、法律よりも政治的な意思決定が優先されるとするならば、感染拡大が止まる気配がないと言いつつも、政治的に真剣に抑止しようとする政治的意思決定が今現在不在なのだろうか?と考えるところです。

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1094. 正しく恐れた先に何が待ってるの?→4月1日現在

maemi fuminori [Date 2020-4-02]

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自分の居住エリアがどの程度の感染者数か知りたいなと思っていたので、


で確認。

東京都4月1日時点
市町村(黄色):23区(赤)=1:8 くらいの構成比かなと。(着色は当方で作業)
※あくまで[都内居住者]の感染数をもとに計算。
[中国籍/不明/調査中/都外/埼玉]は除いています。

都市封鎖はできないのはわかってますが、制御のヒントになる気もします。

いま、「社会的距離戦略」でとにかく距離を保ってほしいと要請が出てますが、結構大事です。
設計でも人との距離感の指標として応用することがあります。

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下の図は、スペインかぜ

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スペインかぜでは、この社会的距離戦略を早期に実践できたエリアの死亡率が抑制できたという話が
ナショナル・ジオグラフィックで読むことができます。


他にもコロナ関連記事が充実しているのでまだお読みになられていない方はご参考にされてみてはいかがでしょうか。



行うべき人への検査は積極的に行って欲しい(韓国のようにどんどんやっても日本、中国より死亡率が高いやり方は違います)という考えは変わらないのですが、日本はこのセントルイス型で緩やかに抑え込むかのように進行している、そんなふうに個人的には感じます。
(コロナ肺炎の疑いがあればCTもPCRもすべてやってるという話を今日の厚労省会見で聴くなど)
4/16加筆:医療崩壊が始まっている中、たらい回しも起きているとの報道。PCR検査までさせてもらえないケースもでている模様。検査体制も逼迫、崩壊しかかっていることが報道で伝わる。
4/18加筆:風邪かどうかわからない、早く検査してほしいという声や、検査数をなぜ増さないかという批判に対しての2感染学会からの「考え方」について、次のコラムにリンクを貼っています。ご熟読を。

だからこそ、一時的な制限(学校休校や臨時休業、週末の外出自粛、夜間外出自粛など)緩和後の急増加について、医療関係者は神経をとがらせるのだと思います。

いろんな業態において、事業継続の戦略が求められる中、難しい選択の連続ですが、設計監理した《cafe634》さんも試行錯誤されています。
例えば
・換気の徹底(=エントランスを全開に
座席数を減らす(=距離の確保)
客の滞在時間の制限(=客の滞留を減らす)
土曜の深夜営業中止(=夜間外出の自粛)
・店頭でのお弁当販売(=不特定多数を同時入店させない)
・お弁当の完全予約制と時間受け渡し(濃厚接触の機会を限定的にする)
など

今は電車で伺うのはリスキーなので、落ち着いたら食べに行きたいと思っています。負けないで。
※4/7発出の緊急事態宣言から
営業日時の短縮、お弁当の店頭販売のみに切り替えておられます。

また、自粛要請によって負の側面も浮き彫りになっています。
バイトを解雇されたとか、家にいる時間が長いと家庭内暴力で居場所がなくなるという問題も起きている。
簡単に自粛と言わないで欲しいというデリケートな記事も出ているので理解はしているのですが、個々の家庭の事情は書けません、難しいです。
適切に相談機関に連絡できるといいのですが...。


そして、外では距離をとりなさいというけど、家ではどうなの?これも悩ましいと思います。
自粛で家族一緒にご飯を食べる機会はできたけど、食卓についても例えば90cm四方のテーブルなら距離は不十分じゃないかとか、それなら一人づつ食べる時間をずらそうかとか、それぞれの部屋で食べちゃうとか、なにかしらの独自ルールを決めて乗り切ろうとされているご家庭のほうが圧倒的に多いのではと想像します。
だからこそ、以前も書きましたが、住宅の設計論として住宅版BCP(HCP)のモデルを検討したい、社会実装してみたいと、様々な事象について動向を注視しながらどう反映できるだろうかと試行錯誤中です。

最後に、
セントルイス型でピークを遅らせ、ワクチンや臨床試験が始まったアビガンのような投薬治療の開発や承認への時間稼ぎ、そして医療従事者への高負荷の軽減をもたらすことのほうが、爆発的増加が起きたあとの経済的損失、人的損失よりも少なく被害を抑えられると個人的には思うのですが、皆さんどう思われましたか?
ロックダウンは受け入れたくないけど、緊急事態宣言は出せ!とか声も聞こえますが私は逆だと思います。
宣言されないように、今こっちが踏ん張る番だぞという時期ではないでしょうか。
自分だけ頑張ってもどうにもならないことってありますから全員で踏ん張りどきだと思います、本当に。

補償のことは書かないのか?と言われるのも何なので一言だけ書きます。
利益誘導になるような商品券とか、マスク2枚配給とか金額の多寡とか皆さんが思う不満を共有できることは多々あります。
「スピーディに国民のほう向いて守ってくれよ」としか言いようがないですね。うんざりしてますから。

ストレスに世代も人種も垣根はないので、「コロナやだ!、飽きた!うんざりだ!バカヤロー!」
人に当たるのは良くありませんが、
時には素直に言い合える関係づくりを心がけて乗り越えていきましょう。

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